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コラム

2026
06 / 07
20:45

栗山英樹監督

先日、宇都宮市内のホテルにて「栃木県日経懇話会設立50周年記念パーティー」なるものに出席しました。天下の日本経済新聞社企画の催しだけあり、また設立50周年記念ということで、ゲストも大物でした。

 

栗山英樹氏、元日本ハムファイターズ監督。チームを2度のリーグ優勝、うち2016年にチームを日本一へ導き、さらに2023年のWBCでは侍ジャパンを世界一へと導いた名監督。

自分は野球に特別詳しいわけではないですが、国内トップクラスの選手を異なる組織から集めた期間限定のチームを世界一へと押し上げるには、いったいどんな手法を用い何が決め手となったのか?これは野球に限らず組織のリーダーとして、非常に気になるところでしょう。

 

1時間の講話でしたが、あまりに内容が興味深く面白く、栗山監督のお人柄というか、ユーモアたっぷりに人情味あふれるエピソードを披露してくださいました。

人それぞれ解釈は異なると思いますが、総括すると「鬼滅の刃」でよく使われるフレーズ「一人はみんなのために、みんなは一人のために」闘うんだという、チーム全員の想いや意志、魂が一つにがっつり噛み合い最高潮に達した時、物事は動き出し奇跡が起きると、栗山監督は言いたいのかなと、私的には感じました。

 

監督曰く、大会期間中の7試合を闘うのに30人を招集するそうで、一流選手でも幼心(おさなごころ)みたいなものがあって「どうせ自分は出場できないし」とふてくされ、試合に集中しない選手も必ず出るそうで、そうなると絶対に勝てないそうです。たとえベンチにいようとも、30人全員が「自分がチームを勝たせる」という強い想いを持たない限り、優勝はできないという。

 

1つのサイン、1つの言葉が試合の流れを変えてしまうというギリギリ切羽詰まった状況下、最終的に流れを作るのは技術やシステムを越えたもの、「このチームを勝たせよう」という選手の濃密な意識が作り出すその場の空気感なのですね。それを作るためには、やはりコミュニケーションしかないと話されておりました。それぞれの選手の心理を読み、その選手に合ったコミュニケーションの取り方があり、それに相当苦心されたようです。究極の状況を経験した者だけが肌感覚で理解できる、非常に根源的な主題だと思いました。

 

最後にちょっとだけ、大谷選手のエピソードを話してくれました。

シーズンが終わった年末の1224日、クリスマス・イブの夜、他の選手がひととき野球を離れ、家族や恋人と思い思いに過ごしている時期、大谷選手は一人バッティングセンターにやって来て、朝方まで数時間、黙々とバッティングの練習をしていたそうです。

翌日、監督は大谷選手に言いました。

「お前さ、せめてクリスマスくらい女の子のいるお店に行ってはじけるとか、やらないの?」

すると、大谷選手は意外そうな顔でこう答えたそうです。

「監督、クリスマスの夜に女の子のいるお店に行って飲むのが楽しいですか?その数時間、女の子と話すことが、どれだけ僕の人生に得になるのかわかりません」と。

 

大谷選手のすごいところは、技術がどうということではない。彼は野球が何よりも好きで、好きな野球をもっとうまくなりたいという純粋な欲求であり、彼の中では練習に対して曖昧さや迷いというものが全くなく、彼の世界には練習をするかしないかの選択肢しか存在しない・・・というようなことを話されていました。

大谷選手の思考法というか世界観は、いたってシンプルなのでした。